先日テレビ番組で「老前整理」について特集が組まれていました。
両親が年老いてきて介護について考える機会が増えてきた私は、最近介護のニュースに関心を持つようになりました。
断捨離がブームになり、世の中の流れが身の回りのものを片付ける傾向にありますが、それは若い人たちの中だけで、高齢者の方にとっては思い出と結びつく事もあり中々難しいようです。
今回は身の回りの整理のうちの一つ、「老前整理」について考えてみたいと思います。
生前整理とは、自分の死後に家族に迷惑がかからないように、また遺品によるトラブルを防ぐ為に行う「残された家族の為に行う整理」の意味合いが強いのに対し、
老前整理は老後を快適に過ごすため行う「高齢になる自分や家族が快適に過ごすために行う整理」の意味合いが強いのが特徴です。
以前は結婚しても同居が当たり前でしたが、近年は結婚すると別世帯を持つ家庭が多いため、親世代は高齢者だけで暮らしている家庭も少なくありません。
近所に暮らしていても、子供世代にも生活があるため頻繁に家を訪れるのは難しいでしょう。
高齢になり、「1年前までは取れていたタンスの上のある荷物も、最近では、椅子の上に立つのが危なくて取りたくてもとれない。子供に来てもらいたいが、子供たちも忙しいみたいで頼みづらい。」
という事もあるようです。
高齢になってから動こうとしても、若い時のように動くことができないため思うように整理できないという声もあります。
その問題を解消するために、体が動くうちに行うのが「老前整理」というわけです。
老前整理を行う際に、触っていいのはもちろん本人達の物のみになります。
家族のものを勝手に触ると、後々遺恨を残す事になりかねません。
このため、老前整理を始めるにあたってご家族の協力を求めるようにしてはいかがでしょうか。
「年をとって家の整理をしようにも体が動かないかもしれない。体が動くうちに片付けをしたいが、間違って〇〇の物を捨てるといけないから、一緒に片付けをして欲しい。」と声をかけて見てはいかがでしょう。
時間の都合はご家族の方に合わせるとして、一緒に家の片付けをすると、懐かしいものが出てきたりして、自然と会話が弾むのではないでしょうか。
一度に片付けをするのではなく、お互いが負担にならない割合で片付けを行う事で、顔を合わせる機会もでき、いい時間ができるのではないかと思います。
年をとると色々なものに思い出があり、捨てたり片付けたりに苦手意識や罪悪感を持つ人も多いですが、片付けや断捨離が楽しい時間の一部になる事で、楽しい老後の一歩を踏み出せるのかなと考えます。