国内の高齢者が増えるの比例して、独居老人と呼ばれる人々も着々と増加しています。
独居老人――ひとり暮らしをしている高齢者。
超高齢社会となった日本では決して珍しい事例ではありません。
2015年現在では560万人を超すお年寄りが一人暮らしをしているとのことです。
独居老人が増えていくのにつれて、その問題がたびたび取りざたされるようになりました。
本日はそのあたりの問題について考えてみたいと思います。
独居老人が問題だ、という意見を見かけることが多くなりましたが、独居老人の何が問題なのでしょうか?
問題点の一つとして、お年寄りの一人暮らしは、それ以外の世帯に比べて、詐欺などの犯罪被害に遭いやすい点が挙げられます。
認知症などで判断力が落ちている、一人暮らしの孤独感・人恋しさを詐欺業者に付け込まれるなどの理由から、一人暮らしのご高齢者が詐欺行為に巻き込まれる事例は非常に多いです。
また孤独感がもたらす問題はこれだけではありません。
寂しさから鬱状態に陥り、最終的には自殺してしまう。そんな悲劇も当たり前にありえるのです。
またそれ以外にも、体力の衰え・生活の困窮などから家事ができなくなり、お住まいがゴミ屋敷化する事例も枚挙にいとまがなく、果ては孤独死の発生などにも繋がるリスクがあります。
こういった各種トラブルの原因となりえるため、独居老人という存在は何かと問題視されがちです。
ここまで独居老人にまつわる問題をご紹介させていただきました。
では全ての独居老人は解消されるべきなのでしょうか?
独居老人と並んで、最近では呼び寄せ老人なんていう言葉も聞かれるようになりました。
遠く離れて住む家族に呼び寄せられる形で、住み慣れた地域を離れていく高齢者のことだそうです。
独居老人は、家族を頼り、呼び寄せ老人となるべきなのでしょうか?
そんなことはないですよね。
各種医療の進歩により昔よりも元気なお年寄りが増えていますので、一人暮らしすることに何の問題もないという方も多くおられるでしょう。
また、ご高齢者自身が一人暮らしを望んでいる場合もあります。
住み慣れた地域で、最期まで自分らしい生活を送りたいというご高齢者ご自身の意思は尊重されるべきものです。
個々の事情・環境を考慮することなく、一概に独居老人を悪だと見なすような考えるがあるとすれば、それは横暴であると言わざるをえません。
(もちろん、高齢者自身が家族との同居を望んでいるような場合は別です)
高齢者自身が住み慣れた地域で自分の力で生きていくことを望んでいる。ならば、それを最大限支援しよう。
今、世の中はそういった方向に進んで行っています。
行政が行っている地域包括ケアシステムの構築・推進も、まさにご高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるよう支援しよう、という理念の元で行われているものです。
一概に高齢者の一人暮らしといっても、その実態は個々人の事情・環境により様々だ。
だからこそ、一つの答えを押し付けるのではなく、一人一人のお年寄りが自分らしく生活するための支援をするようにしよう。
これまで記載してきた内容をまとめるとこんな感じでしょうか。
生活が多様化しているのは何も高齢者側ばかりではありません。
一人暮らしのご高齢者と離れて暮らすご家族の方々、周囲に住む人々。
それぞれにそれぞれの生活・人生があることでしょう。
ライフスタイルが異なる者、価値観の異なる者が一つ屋根の下に暮らし、互いに助け合う光景というのは確かに美しいかもしれません。
しかしながら、それが現実には難しいことを私たちはよく理解しています。
異なるライフスタイルを無理にすり合わせるのではなく、各々が自らの生活を大事にしつつ、遠く離れた大切な人を「見守る」。
そんな選択肢があってもよいのではないでしょうか?
見守りサービスならば、各人の生活を侵すことなく遠く離れたあの人を見守り、緊急時には迅速・適切に対応いたします。
一人暮らしをやめさせるのではなく、一人暮らしでも暮らしていける環境づくりをサポートする。