介護職員の不足が叫ばれるようになってすでに久しいですが、このたび厚生労働省は、介護職員の増員目標を従来の2020年までに20万人から、5万人増となる25万人に変更しました。
今回の目標人数の増加は、政府が推進する「介護離職ゼロ」「一億総活躍社会」に向けて、上積み整備する高齢者向けサービスを実施するために必要な人員を加算したためとのことです。
介護職員の不足状況を示すデータとして、これまでは2013年に厚労省が算出した数字が使われていました。
それによると2020年時点での不足数が約20万人、団塊世代が後期高齢者の仲間入りをする2025年には、なんと約38万人もの介護職員が不足することが指摘されています。
今回、新たに算出されたデータでは、2025年における推計データは提示されていませんが、単純計算で約43万人もの介護従事者が不足することが予想されます。
これら介護職員の不足については、人口が集中する関東圏、特に東京で顕著になると見られており、政府には早急な対策が求められるところです。
介護職員不足という現状を打破するため、政府は以下のような取り組みを行っています。
このような対策に加えて、新たな人員育成・確保策を検討するための有識者会議もスタート。問題解決に向けた追加政策の制定も期待されます。
包括的な対応で介護職員不足の解決を目指していますが、抜本的な解決には待遇の改善が不可欠であるという声も現場を中心として多く上がっており、今後の介護報酬改定に注目があつまります。
介護職員が不足している現状については、かねてより官民ともに強く問題視しており、さまざまな対策が打ち出されてきました。
しかしながら、抜本的な問題解決には至っていないというのが現状です。
そもそもの問題として、介護職員の不足は行政や業界の構造的な問題以外にも、高齢者の増加と相反するように減少する労働人口の減少といった人口分布的な問題も根底にありますので、なかなか改善するのが難しいというのが実状ではないでしょうか?
これらのことを考えると、介護サービスの充実、介護人材の育成・確保は確かに重要ではありますが、それ以上に介護を必要としない高齢者を増やしていくことが大切なのかもしれません。
地域包括ケアシステム構想に見られる、介護予防の推進を見る限り、政府もこのことについては検討済みのようではありますが……。
ここ最近の、箱モノありき、給付金ありきの高齢者政策を見ていると、どこを目指しているのかがハッキリしないというのが正直な感想ではあります。
もちろん高齢化に伴う諸問題の解決は緊急を要するものが多く、多角的なアプローチで解決を目指す必要があるのも理解できるのですが……。
高齢者一人ひとりが健康的で自立した生活を送ることが出来る社会。その実現のためには、まだまだ課題が山積みのようです。
私たちも微力ではありますが、「見守りサービス」を通じて、高齢者の方たちが安心して暮らせる社会の実現に尽力していきたいと思う所存です。