アフラックの略称で知られるアメリカンファミリー生命保険会社が、日本郵便株式会社と協力して、高齢者向けの新サービスを提供することを発表しました。
提供予定のサービスは2つ。
日本郵便が有する配達ネットワークを利用した現況確認サービスと、アフラック契約者のうち引っ越しなどで住所を変更された方を対象に、日本郵便の住所案内変更サービスを活用して住所変更手続きを促していくサービスです。
アフラックが10月26日に発表したプレリリースでは、現況確認サービスについては2016年下期までに、住所変更案内サービスについては2016年上期を目安に提供を行っていく予定とのことです。
いずれの取り組みもアフラック及び日本郵政が2013年に締結した包括業務提携の一環として行われたもので、超高齢社会に対応したサービスを提供するとともに両者の企業価値の向上、お客様に対してのサービスレベル向上を目指すものだとされています。
次世代の収益事業として日本郵政が力を入れている高齢者支援サービス。
かねてより一部地域で提供していた「見守りサービス」も順調に提供エリアを拡大し続けてますし、今年に入ってからは高齢者向け買い物支援サービスでスーパー大手のイオングループとも業務提携を行っています。
今回のアフラックとの取り組みも、そうした流れの一環と言えるでしょう。
以前、日本郵政社長の西室泰三氏は「さまざまな企業と提携して全国展開の可能性を探っていく」と語っていましたが、今回のアフラックとの取り組み、前回のイオンとの提携も、そうした全国展開を目指すうえでのプロセスの一部ということではないでしょうか。
郵便局が有する信用・ブランド力と配達ネットワークを生かした見守りサービス。今後の発展が楽しみなサービスです。
その一方で、これらの高齢者支援サービスを取り巻く現状は、決して明るい話題ばかりではありません。
1年間で600人のユーザー獲得を目指して実施された日本郵便の試行サービスの利用者は100人強。目標を大きく下回る滑り出しとなりました。
提供エリアを拡大している今でも採算的に厳しい状況は続いています。
その最大の理由として指摘されているのがサービスの質で、訪問回数は月1回で足りるのか、訪問しただけで体調などを把握することができるのかという声が社内からもあがっているそうで、さらなるサービス品質の改善が求められています。
事実、今回のアフラックとの取り組みに関しても、「見に行くだけのサービスならば意味は薄い。重要なのは異常事態に対してどの程度対応できるのか」といった疑問もあがっており、単なる現況確認を超えた、より包括的な安否確認・見守りを実現できるサービスの提供を求める声は大きいようです。
最近では、サービスを利用する高齢者の目も肥えてきています。
郵便局というブランドが持つ信用力は確かに大きいですが、それだけではユーザーを納得させることは難しい時代になったようです。
顧客のニーズを踏まえて、適切なサービスを開発・提供する行動力こそが、これからの企業に必要なことだと強く感じました。
私たちもご高齢者さま及びご高齢者を見守られる方たちにとって有益な情報・サービスを提供できるよう頑張っていきます。