みなさん、「福祉避難所」を知っていますか。
初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか。
私も、最近高齢者問題に注目するようになり、初めてこの施設の存在を知りました。
今回は、「福祉避難所」がどのようなものか記載してきたいとおもいます。
福祉避難所の概念として、厚生労働省は「既存の建物を活用し、介護の必要な高齢者や障害者など一般の避難所では生活に支障を来す人に対して、ケアが行われるほか、要援護者に配慮したポータブルトイレ、手すりや仮設スロープなどバリアフリー化が図られた避難所」と定義しています。(※1)
福祉避難所の利用対象者の具体例としては、特別養護老人ホームや短期入所施設の入所対象者以外の人、つまり通常自宅で生活している高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児等が含まれます。
厚生労働省の調査によると、福祉避難所に指定されている施設は、平成24年9月30日時店で全国で11,254施設あり、そのうち80%以上が社会福祉施設となっています。
一般の避難所との違いは、施設の作りにあるのではないでしょうか。
災害が発生した場合、一般の避難所として学校や体育館、公民館等が解放される場合が多いとおもいます。
最近建てられた学校は車椅子対応やバリアフリー化等が進んでいますが、以前建てられた建物ですと高齢者や障害者、または妊産婦が生活するのには段差が多かったりと不便な部分が多いと思います。
精神的にショックを受けている場合は、ちょっとした段差ですら大怪我に繋がる可能性もございます。
福祉避難所は手すりや仮設スロープ等のバリアフリー化の対策がとられており、また80%以上が社会福祉施設が指定されている事もあり、対象となる利用者には生活しやすい施設になっています。
また、内閣府が発表した「福祉避難所の確保・運用ガイドライン」には、物資・器材の確保として、車椅子や歩行器、補聴器やストーマ用装具等の備蓄を図るように記載されています。
通常の避難所には様々な物資が全国から送られてきますが、上記のような物のお届けはなかなか難しいのではないのでしょうか。
避難生活の中で医療処置や治療が必要になった場合にも、平時から医療機関との連携を示唆していることから、通常の避難所よりは対応しやすいのではないかとおもいます。
上記の記事を読んで、メリットばかりのような気がしますが、まだまだ課題が多いのも事実です。
福祉避難所は災害が発生した際に、避難してきた方々の中で対象となる人がいた場合に開設されます。
しかし、開設しても福祉避難所職員や対象かどうかを判断する職員も被災している事が考えられるため、開設に時間がかかる場合もあります。
また、一般避難所から移送するにも、道路状況等から直ぐに移動できない場合や、避難場所付近に該当する施設がない場合もあります。
ますます高齢化が進む昨今、地震や台風等の災害も増えていますので、この施設をより有効利用できる対策に期待します。
(※1)引用元:厚生労働省「福祉避難所設置状況」
(※2)参照:内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」