福祉大国と名高いスウェーデンですが、認知症介護の分野においてもその先進性がうかがえます。
高齢者の自助自立を目指すスウェーデンでは、認知症高齢者の45パーセントが一人暮らしで生活を続けており、さらに認知症の進行も日本などと比べて緩やかだと言われています。
これらを支えているのは、アンダーナースと呼ばれる医療介護スタッフと、オムソーリと呼ばれるスウェーデン独特の介護観だそうです。
本日はこのアンダーナースと、オムソーリについて見ていきたいと思います。
アンダーナースとは基礎的な医療知識を持った介護スタッフのことを指します。
介護福祉士と看護師のあいだのような位置づけと考えてもらうと理解しやすいかもしれません。
アンダーナースの特徴の一つとして、家事援助のうち、掃除や洗濯といった作業は行わない点が挙げられます。
これらの業務は、別途サービスパトロールチームが担当しており、アンダーナースの作業効率を高めています。
さらに料理についても真空パックの調理食を事前に準備しておくことで省略しており、アンダーナースは純粋に介護・福祉業務に集中できるようになっています。
スウェーデンにおいてアンダーナースが取り組んでいる介護ケアのことを『オムソーリ』と呼びます。
オムソーリとはスウェーデンの古語で「悲しみや幸せを分かち合う」という意味を持つ言葉で、介護をする相手の人にとって、本当に必要なことは何なのかをポイントを絞ってケアを行うことで、被介護者の自立を促すところに大きな特徴があります。
とりわけ認知症ケアにおけるオムソーリは、症状の進行を防ぐのに一役買っています。
自分で出来ることは自分でしてもらう、出来ないことについては全力でサポートするというオムソーリのケアは、高齢者の自立心を育み、認知症の進行や寝たきりなどを予防します。
さらにオムソーリを行うアンダーナース達は、常に高齢者との会話を欠かしません。
会話によるコミュニケーションは脳の活性に効果的です。このこともまた、認知症の進行を遅らせるのに効果を発揮します。
オムソーリのこれらの取り組みが、冒頭でお伝えした認知症高齢者の高い一人暮らし率にも繋がっていると言えるでしょう。
要介護の高齢者であっても、高齢者自身が一人暮らしを望む場合は、その希望に沿ったケアを行うスウェーデンの地域介護。
医療から福祉へ。施設から在宅介護へと、スウェーデンの社会福祉システムは進化を進めてきました。
日本においても参考にすべき点がたくさんあるといえるでしょう。
今後ますます加速する高齢化の波を乗り切るため、オムソーリの精神から学んでいきましょう!