最近にわかに注目を集めているサービス付き高齢者向け住宅。通称、サ高住。
介護・医療と連携することで高齢者を支援するバリアフリー構造住宅の総称ですが、登録するにはいくつかの基準をクリアする必要があります。
段差のない床、車椅子通行も容易な廊下幅などのバリアフリー構造を実現していること。医師、看護師や社会福祉士などのケアサービスの専門家が日中常駐していること。そして、入居者に対する安否確認サービス、状況把握サービスを提供すること。
これ以外にも住居および登録事業者に対する複数の条件があり、それらを満たすことでサービス付き高齢者向け住宅として登録できるわけです。
高齢者が必要十分なケアを受けようと思った場合、これまでは介護施設などへ入所するのが当たり前でしたが、サービス付き高齢者向け住宅が社会に浸透すれば、自らの住まいで、自分らしく暮らしながら、必要十分なケアサービスを受けられるようになるのではと期待されています。
前述したようにサービス付き高齢者向け住宅では、入居者に対する安否確認・状況把握サービスの提供が義務付けられています。
多くのサ高住では、常駐しているケアサービス職員が巡回したり、地域の見守りサービス提供事業者と提携することで、この安否確認サービスを実現してきました。
しかしここ最近では、これらの手法と別にHEMS・MEMSを用いた安否確認を行う住宅が出現しています。
HEMSとかMEMSという言葉は、なかなか聞きなれない言葉かと思います。
省略せずに記載しますと、それぞれ「Home Energy Management System(ホームエネルギーマネージメントシステム)」と「Mansion Energy Management System(マンションエネルギーマネージメントシステム)」となります。
要するに住まいのエネルギーを管理するためのシステムのことで、元々は節電やエネルギー使用量の見える化のために開発されたシステムです。
節電技術がどうして高齢者見守りサービスに繋がるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうが、どうやら高齢者が日常生活の中で使う電気・ガス・水道などの消費をビッグデータ的に解析することで、高齢者の生活パターンの推測、ひいては安否確認へと利用することができるそうです。
特別な作業や応答を必要としない、高齢者の日常生活中に現れる情報を検知しての安否確認であるため、負担の少ない見守りができるのではないかと期待を集めています。
最近の事例ですと、日立製作所、株式会社日立アーバンインベストメント、東京建物株式会社の3社が、このMEMSシステムの活用で2015年度のグッドデザイン賞を受賞していますね。
サ高住の需要は今後ますます増大していくと思われます。それに併せて、HEMS・MEMSを活用した安否確認サービスの事例も増えていくのではないでしょうか。
今回はHEMS・MEMSを活用した見守りの形についてご紹介させていただきましたが、これからの技術の進歩に伴い、新しい見守り・安否確認の形が登場することは想像にかたくありません。
有力視されているところですと、ウェアラブル端末を用いた安否確認サービス・ロボットを用いた見守りサービスあたりは近々なんらかの形で実現しそうです。
介護者不足という問題を抱える日本において、ICTの活用による介護サービスの向上および負担の軽減は急務ともいえます。
これからの技術、介護の方向がどういったものになるのかは分かりませんが、高齢者が自分らしく生きる社会を実現するための助けとなるものであればよいですね。