先日、マイナンバーを題材とした特殊詐欺が横行していることをお伝えしましたが、それと並んで報告件数が増えてきているのが、仮想通貨の代理購入を持ちかけるタイプの詐欺手口です。
特殊詐欺の手口は年々複雑化が進んでいますが、この仮想通貨を利用した詐欺手口についてもここ数年で被害額・報告件数ともに急増中。
昨年にいたっては、なんと年間で100件もの被害相談が、国民生活センターに寄せられたとのことです。
詐欺手口の説明に入る前に、仮想通貨と呼ばれるものについて簡単に説明しておきましょう。
仮想通貨とは、特定の国家による価値の保証がされていないものの、インターネットなどの特定の領域内でその価値が受け入れられている通貨のことを言います。
「ビットコイン」や「リップルコイン」などが有名ですね。
似たような言葉で電子マネーというものがありますが、あちらはインターネット上での決済システムを指す言葉で、通貨・貨幣そのものを指す言葉ではありません。
先ほどお伝えしたように仮想通貨というのは国による価値の保証がされていない通貨です。
にも関わらず、なぜ価値が発生するのかといいますと、技術的な仕組みで通貨流通の上限量が定められているからです。
現実の通貨でも言えることですが、際限なく発行できるような通貨では、その価値はすぐに崩れてしまいます。
そのため通常の通貨では国が発行量をコントロールをします。仮想通貨の場合は、技術的な仕組みでその部分をコントロールしているわけです。
とはいえ、仮想通貨に公的な価値が存在しないことに変わりはありません。
仮想通貨の価値とは、利用者自身が主導して変動させていく、つまり欲しいと思う人が多ければ値上がりし、誰も欲しがらなければ値下がりする。
そういった投資・投機的な側面が非常に強い通貨であることをご理解いただければと思います。
さて。以上を踏まえた上で、仮想通貨詐欺の手口についてご説明したいと思います。
報告されている犯行手口の中で多いのは、仮想通貨の投資的価値を騙ったうえで、高額で買い取るから代理購入してくれないかというパターンですね。
実際の手口を見てみましょう。
というのが、よくあるパターンのようです。
複数の肩書きの人間が立ち代り入れ替わり登場することで信用感を高めていく、いわゆる「劇場型詐欺」の一種ですね。
被害相談の中には、犯人グループが警察などといった公的機関の人間を名乗って登場した事例もあるようなので、注意が必要です。
実際に仮想通貨詐欺の被害に遭われた事例を紹介しますと、
このほかにも類似の手口で、茨城県水戸市の80代女性が3500万円の被害に、岐阜県中津市の70代女性は、なんと1億1000万円もの高額被害に遭っています。
そのほかの詐欺事例にも言えることですが、基本的に「うまい話には罠がある」と思ったほうが良いでしょう。
また、少しでも怪しいと思ったら自分ひとりでは判断しないことが大切です。
信頼できるご家族ですとか、警察・国民生活センターなどの公的機関に相談してみてください。
「自分は大丈夫」という思い込みは捨てるべきです。
犯人グループはあの手この手を使い、こちらの冷静な判断力を奪っていきます。注意しましょう。
また、先日紹介したマイナンバー詐欺や、今回の仮想通貨詐欺にしてもそうですが、社会的に話題になった事柄というのは、特殊詐欺の題材になりやすい傾向があります。
こうした時事ネタ絡みで、支払や振込を誘導するような話がでてきたら、ちょっと警戒したほうがいいかもしれません。
最近の例ですと、これまで紹介したもの以外にも東京オリンピック関連の特殊詐欺がちらほら出てきているそうです。
いずれにしても高齢者をターゲットとした詐欺行為は、悪質で許すことのできない犯罪行為です。
私たちも引き続き注意喚起を行っていく予定ですが、ご高齢者ご自身、およびその周辺の方たちも、詐欺被害を未然に防ぐために、十分なご注意とご助力をよろしくお願いいたします。