先日、政府が掲げている一億総活躍社会の実現のための会議、『1億総活躍国民会議』が開催されたことをお伝えしました。
その議論において、介護離職問題は早急に対策が必要な最重要課題の一つとして位置づけ、国有地を使用しての特養施設の建設・整備、介護休業給付金の引き上げなどといった具体的な方針について意見が交わされました。
この会議から遡ること数日前。11月24日に全国老人福祉施設協議会(以下、老施協)が、「介護離職ゼロ」を実現するにあたっての提言を発表しています。
この提言の中で老施協は、特養施設を整備するにあたっては、新たな施設を建設するよりも、既存の中小規模の特養施設を増床したほうが効果的であるとの見解を述べています。
その理由としては、施設の新築よりも増床のほうがコストを抑えられる点を指摘。
新規に中小規模の特養施設を建設するよりも、既存の中小規模特養施設を80名~100名規模にまで増床したほうが、平均して35%程度費用を削減できるとしています。
また、80名から100名規模の特別養護老人ホームは、短期入所や通所介護などのサービスが中小規模の特養施設よりも充実している場合が多く、増床することでサービスの拡充、品質向上が期待できる点についても言及しています。
介護離職との強い関連が指摘されている待機老人問題を解決するためにも、特養施設の整備は急務です。
今後の迅速な対応が期待されます。
施設の整備と併せて対策が急がれるのが、介護職員の不足問題です。
今回の老施協の提言ではこの問題についても意見を述べており、労働環境の改善や人員配置基準の見直しなどと併せて、介護の担い手として外国人の受け入れを推進することを求めています。
この要望に対しては、介護関係者の間でも意見が割れているようで、
などといった反対意見が聞こえる一方、
といった賛成意見も見受けられました。
いずれにしても単純に施設・人を増やすという考えでは上手くいかないと考える人が多く、管理体制・職場環境の見直しや待遇の改善も含めた包括的な対策が必要と思われます。