かねてより介護休業制度の改革について検討するとしていた安倍内閣ですが、ようやくそのプランの一部が見えてきました。
厚生労働省は、介護休業中に受け取れる給付金の額を引き上げる方向で調整中であり、現在の給付率である40%から、育児休業と同じ水準である67%まで引き上げる意向があると発表しました。
この給付率の引き上げについては、11月2日に開催された労働政策審議会の部会において、労働側の委員から提案に対し経営側が同意する形で合意しており、問題が無ければ来年の通常国会にて改正法案が提出される見込みです。
また、休業期間の取得方法についても改革を検討中で、現在の介護休業は最大93日間の休業を1度に連続して取る必要がありますが、これを分割して取得できるように制度を見直しを検討するとのことで、こちらについても給付金の引き上げと併せて改正法案の中に盛り込まれるものとを思われます。
この度、給付金の引き上げが発表された介護休業制度。残念ながらその社会的認知度は決して十分とはいえません。
ここでは知らない人が多い介護休業について簡単に説明させていただきたいと思います。
介護休業とは、「育児・介護休業法」にて定められた休業制度であり、家族の介護が必要だと認められた「日々雇用を除くすべての労働者」が申請することができます。
意外と知られていませんが、契約社員や派遣社員といった正社員以外の労働者でも所定条件を満たせば介護休業を取得できるということですね。
介護休業取得における介護が必要だと認められる基準については、2週間以上の期間を通して日常生活の基本的な動作(食事・排泄など)に支障をきたしているかどうか、常に介護者の連れ添いが必要と見込まれるかがポイントとなります。
介護保険法における要介護認定とは異なる点にも注意が必要ですね。
また被介護者として認められる範囲についてですが、
となっています。
介護休業を取得するにあたって一番の気がかりは、期間中の収入についてではないでしょうか?
実は介護休業中の賃金に関する記述は、育児・介護休業法の中にはありません。
法的な定めがないため、休業中の賃金については各企業の判断に委ねられている状況です。
休業取得前に勤務先に確認を行うようにしましょう。
勤め先企業に休業中の賃金支払い制度が無い場合でも、雇用保険に加入している方は、最寄のハローワークに申請することで介護休業給付金を受け取ることができます。
給付金額は働いていた時の収入を基準に、およそ40%程度の金額が給付されます。
ちなみに記事冒頭で給付率引き上げを検討中とお伝えしたのが、この介護休業給付金となります。
給付率が現行の40%から67%に引き上げられれば、在宅介護をされている方達の経済的負担の軽減にもつながりそうですね。
安倍首相が掲げる介護離職ゼロという目標を達成するためには、働きながら介護を行うことができる環境作りが重要となります。
今回の介護給付金の引き上げ案は、そうした社会実現に向けての第一歩といえるのではないでしょうか?
仕事と介護の両立。この目標を達成するためには、今回のような行政面での改革ももちろん重要ですが、それと並行して介護休業という制度の周知徹底、また介護休業の申請がしやすくなるような職場づくりといった民間側の努力も必要となってくると思われます。
まだまだ前途多難な道筋ではありますが、首相が掲げる介護離職ゼロ社会に向けて、ようやく具体的な道筋が見えてきました。今後の展開にも要注目です。