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高齢者はITに弱いは大嘘? 葉っぱビジネスに学ぶイマドキ高齢者のIT事情とこれからの社会づくり

高齢者とパソコンお年寄りはみんなIT音痴だと思っている。そういう風に思われている方、けっこう多いのではないでしょうか。
その認識、改めた方がよさそうです。

総務省が提供している通信白書によると、65歳以上のインターネット利用率は68.9%となっており年々増加傾向にあります。

利用目的で最多を占めたのが「電子メールの送受信」、次いで多いのが「商品・サービスの購入」「動画投稿・共有サイト」の利用。

TwitterやLineなどのSNSの利用は2割弱と流石に少ないようですが、それを除けばご高齢者も現役世代の人たちと同じようにインターネットを通じて、ネットショッピングをしたり、Youtubeなどの動画サイトを見たりして楽しんでいるとのことです。

さらに最近では、パソコン・インターネットを使うことが出来る介護施設が、ご高齢者たちの間で人気を集めているなんていう話もあります。

こういう話を聞くと、常識のように語られる「高齢者はITが苦手」というフレーズが、単なる偏見や思い込みの類でしかなかったことに気づかされます。

 

上勝町の『葉っぱビジネス』に学ぶ、高齢者とITの活用事例

ご高齢者とIT機器の関係を考えるうえで、ぜひとも押さえておきたい事例のひとつに上勝町の葉っぱビジネスがあります。

「株式会社いろどり」が行っているこの葉っぱビジネス、町内に散らばっていた落ち葉を捨てずに商品として販売するという斬新な試みで、料理への盛り付け用として料亭などが購入していくそうです。

現在では年間2億6000万もの売上を生み出しているという葉っぱビジネス、アイデアの斬新さ・売上の大きさもさることながら、注目すべきは商品(落ち葉)の仕入れに多くのご高齢者が参加している点。
加えて、葉っぱという在庫管理が難しい商品を着実に取引先に届けるために、葉っぱビジネスに参加する高齢者はPCやタブレットというようなIT機器を駆使しながら、市場動向のチェックを行い、商品の出荷を行っているそうです。

タブレットを活用してマーケティングリサーチを行うおじいちゃんやおばあちゃん。
私たちが抱く高齢者のイメージが音をたてて崩れていくようですが、これが実際うまくいっているようで、中には年収1000万円を超すおばあちゃんもいるとのこと。

 

なぜ上勝町の高齢者はなぜPC・タブレットを使いこなせるのか?

最近のご高齢者たちが私たちの想像以上にPC・ネットに慣れ親しんでいることは、ここまで見て頂いた通りですが、それにしても上勝町の高齢者のIT活用力は目を見張るものがあります。

なぜ上勝町のご高齢者は、ここまでPC・タブレットを使いこなすことができるようになったのでしょうか?

その理由を聞いてみたところ、大きくわけて2つの理由があるようです。

 

ひとつは高齢者の方たちが使いやすい道具を用意したこと。

いくら最近の高齢者にPC・ネットに慣れ親しんでいる人が多いとはいっても、身体の衰え事態は避けられません。小さい文字などは読みづらいですし、細かな動きが要求される機器の操作も苦手な方が多いです。

こうした問題に対処するため、葉っぱビジネスに参加するご高齢者の方には、専用のキーボード・大型トラックボールなどの高齢者向け機器を用意しています。
加えて、葉っぱビジネス専用の簡易ブラウザも容易し、高齢者がイメージ通りの操作ができるよう配慮しているそうです。

 

もう一つは、高齢者の方に好奇心をもって作業を行ってもらえるような情報提供・環境づくりです。

たとえば、先ほどご紹介した葉っぱビジネス専用ブラウザでは、参加者が自らの売上順位を見る事ができるようになっているそうです。

これによって昨日の売上は○○位だった。あと少しで過去最高売上だったから頑張ろうというようなモチベーション向上につながり、ご高齢者の学習意欲の向上になっているんだとか。

 

高齢者でもITを楽しむことは可能! 高齢者とITの力で高齢化を乗り切れ

こうした事例を見ていると、「高齢者だからできない」というような言葉の多くは思い込みに過ぎないんだななぁということに気づかされます。

もちろん年を取ることで変わっていくこと、老いていく部分は確実にあるので、本当にできないことというのも数多くあるのでしょうが、環境を整えてあげれば高齢者でもできることというのは、私たちが思っている以上に多いのかもしれません。

少子高齢化の中で、高齢者を支える現役世代の人数は年々減少していっています。
1950年代には12人の若者で1人の高齢者を支えればよかったのが、今現在では3人の若者で1人の高齢者を支えなければなりません。

この傾向は今後も続き、2060年には1人の若者が1人の高齢者を支える時代が来るという予想もあります。

一見して絶望的な数字ではありますが、上勝町の事例などを見る限りそんなに悲観する必要もないのかもしれません。

私たちは無意識のうちに、高齢者は弱い存在、現役世代に一方的に支えられる存在と思い込んでいるところがありますが、適切な環境さえ整えてあげれば高齢者自身で自活することも、社会に貢献することも可能なのではないでしょうか?

これからの時代は、高齢者だから若者だからというような画一的なものさしで物事を考えるのではなく、一人一人が自分に何ができるのかを考えて行動し、そのうえでサポートを必要としている人に対しては年齢や地域に関係なく適切なケアを行えるような環境づくりが必要なのではないか、そんな風に考えさせられる事例でした。

公開日:2015年11月4日  カテゴリー: | 関連キーワード: ,

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