見守りで認知症不明者を防げ!

徘徊する高齢者2014年4月19日の毎日新聞朝刊での報道がきっかけで、行方不明となり2年1ヶ月もの間を大阪の施設で身元不明のまま仮名で施設で過ごしていた兵庫県の男性(74)の身元が判明しました。
 また2014年5月にNHKの報道がきっかけで6年6ヶ月もの間、群馬県の施設で過ごしていた東京都台東区の女性(67)の身元が判明しました。
 最長で18年間も!身元不明のまま保護されていた方もおられます。
 なぜこんなに長期間身元が判明しないのでしょうか? 警察が名前を誤記したり(ミエコをエミコ)、不明者届と迷い人照会書の照合が手作業で見落としたり、近隣署しか紹介しなかったりと、初歩的なミスが多いのは確かです。実はこれは氷山の一角に過ぎません。
 認知症で行方不明になる人(捜索願)は、2013年で1万322人。うち151人が未だに所在不明です。さらに、警察に保護されるも身元不明な方が全国で13人にものぼります。亡くなった方も351人いるそうです。
 5月11日にはNHKスペシャル『認知症800万人時代 行方不明1万人』の第三弾で特集され、新聞テレビ各社も一斉に特集し始めました。

 

■見守りで気付く認知症

 先日、クライアントさん主催のセミナーでクライアントスタッフの講座で事例をお話いただきました。
 顧客の方に認知症の疑いがある方(女性)がいらっしゃったそうです。たまにお伺いするので、「あれ?おかしいな?」ということに気付けたそうです。
 離れて暮らすご家族にお伝えするも、認めたくないのか関わりたくないのか、こちらの話を重く受け取ってもらえず、それっきりになってしまいました。
 その後、そのおばあちゃんは不用意な契約を立て続けに結び(悪徳リフォームや布団、高級味噌まであったそうです)、その解約にクライアントさんのスタッフが奔走したそうです。
 一方で、同居しているのに気付かなかったケースもあったそうです。毎日一緒にいるので返って変化に気付かなかったり、老化による物忘れだろう、という思い込み(願望)がそこにはあったりします。確かに物忘れか認知症かは判断が難しい面もあるのです。
 よく「昨日食べたものを忘れているのは物忘れで、食べたことを忘れているのは認知症」という話があります。事実かどうかは別にしても、ひとつの目安にはなると思います。
 また、「盗られ妄想」が始まると要注意、という声もあります。そしてこれがご家族と関わりが減る原因でもあります。
 このように定期訪問により気付いたケースは数多くあります。
 認知症は病気なので、家族としてもしっかりと向き合っていかなければなりません。しかし一方で、遠くに離れてしまって面倒を見れないご家族や、残念ながら様々な理由により疎遠になってしまっているご家族もいらっしゃいます。
 このような現実を目の当たりにすると、非常に寂しい思いをしますが、「遠くの親戚より近くの他人」という諺もあるくらいです。やはり地域密着でシニアを見守っていく、徘徊により身元不明者を出さない、ということに大きな意義を感じずにはいられませんでした。
 最後に新聞に記載されていた現在の身元不明保護者の数を記載します。1万人のほとんどが見付かっているとはいえ、そうではない方もいる事実。ぜひ知っておいてください

公開日:2016年6月10日  カテゴリー:
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