今回の記事では、「介護関連からみた見守りサービス」というテーマで書きたいと思います。
船井総研で主催しているシニアホームケアビジネス研究会ですが、実はここのところ、介護施設、介護サービスなど介護関連事業者さまの入会が急増しています。
見守りサービスは「非介護」のマーケットですよと言ってきましたが、みなさんやはり狙いとされているポイントがいくつかあるのだと思います。
介護関連に携わる会社さんにとって、見逃すことができないトピックは、2015年に実施された介護保険制度の改正でしょう。詳細については割愛いたしますが、ここで特に問題となるポイントは、
①在宅強化の方針
②要支援者の制度からの分離
③認定基準、サービス範囲の厳格化
ということが挙げられると思います。介護関連事業者にとって、もはやこれまでの介護保険制度ありきでは難しくなる、そういう背景があって、見守りサービスに注目されているのではないかと思います。
介護施設にしても、介護サービス事業所にしても、ビジネス上大切なことは、利用稼働率を維持していくことだと思います。
そうしたときに、目の前の利用者だけでなく、介護前あるいは軽度の要介護者を将来の見込み客として囲い込んでおくような施策を取っておきたいものです。
例えば、介護施設なら内覧会、デイサービスなど介護サービス事業所であれば体験会などのイベントを定期的に集客施策として実施されると思います。
来場があったとして、そこから入所やサービス利用に至るのは10~20%程度。それ以外の今すぐお客さんにならない「そのうち客」は、残念ながら放ったらかしというケースが非常に多いと思います。
もし、そうした「そのうち客」に対して提案できる商品があり、さらにそれが緩やかに定期的に接点をつくれるようなサービスであったとしたら・・・
そうした役割として見守りサービスを活用することもできるのです。
介護保険制度が改正となって、自費サービスがある種当たり前の世の中になると思っています。
これまでは介護保険の範疇としてサービス提供されていたが、保険制度の財政が逼迫することでサービス範囲が厳格化され、介護保険の範囲内として認められなくなる。
それでも必要なものは必要なものとして、自費で支払ったとしてもサービスを受けたいというのが一般的な世の中になると見込まれます。
見守りサービスはもちろん、家事代行サービスや、ライフサポートなども当初から自費サービスとして展開していきますので、そうした変化に対応していく事業の一つとなるでしょう。
介護施設を展開されている会社さんの場合、基本的には入所、あるいは通所型の介護サービスということになるでしょう。
一方で、これからの国の方針としての「在宅強化」を考えると、在宅の要介護者に対する訪問型サービスへのニーズが増えていくことも考えられると思います。
見守りサービスのなかの定期訪問サービス、そこからニーズをすくい上げて提供していく家事代行サービス、ライフサポートサービスなどはいずれも在宅のお客さんを対象とした訪問型のサービスです。
そうした訪問型のサービスを新たに事業化しておくことで、顧客との接点を創り、あるいは維持していくことができます。
見守りサービスは介護関連からも注目の事業だといえるでしょう。
※この記事は株式会社船井総合研究所の協力のもと、同社発行の「シニアホームケアジャーナル」を一部改訂してお届けしています。