このビジネスをご提案するにいたった経緯といいますか、きっかけについてお話をしておきたいと思います。
もともと筆者は、電気・設備工事業のコンサルティングをやっておりました。電気・設備工事業というと、ビルや建物の電気設備や、工場の設備などの施工を行う会社さんが多いと思います。そうした会社さんは、従来は官公庁からの公共工事や、ゼネコン・サブコンなどの会社さんからの施工案件、いわゆる下請け工事をやってらっしゃるところが主流です。
そうした業界で、新しい動きとして一般家庭、個人向けのマーケットを対象にしていく工事サービスをご提案していました。
電球の交換や、コンセントの取替え、地デジアンテナの施工など、シニアホームケアビジネスのなかの「コンビニサービス」の原型といえるでしょう。
電気・設備工事会社にとって、そうした個人向けのマーケットは他社が目を向けない、手付かずのマーケットであり、そうしたサービスをメニュー化してチラシ配布をしていくと、驚くほどの反響が獲得できるのです。
そうした個人向けの修理サービスをビジネス展開していくと、ある傾向に気づきます。
それは、売上の案件を見ていくと、その60%以上が高齢者世帯からの依頼であったということです。
高齢者世帯からの依頼にはさまざまなニーズがあります。それらに細かくお応えしていくと、非常に喜ばれるビジネスであることもわかってきます。
「いままでどこに頼んでいいかわからなくて、困っていた。」
「こういうことを身近にやってくれる会社さんがあって本当に助かった。」
さらに面白いことに、初回より2回目、2回目より3回目と、ご依頼の回を重ねるごとに案件の規模が大きくなっていくのです。最初は本当に3千円程度の仕事だったとしても、 2回目には1万円を超え、3回目には5万円とか10万円とかの仕事になっていくのです。
ご依頼を受けて工事に伺っていると、必ず「お茶タイム」というのがあり、高齢者の世間話にお付き合いするという時間が発生します。そのときにいろんな話をする中で、あそこもここもといった具合にさまざまなニーズが次々に出てくるというわけです。
さらに、閑散期になったときに、以前に仕事をいただいた顧客さんを訪問すると、何がしかの相談ごとが生まれるのも面白いところです。
高齢者からのご依頼が圧倒的に多いこと、住まいのお困りごとをたくさん抱えていること、そうしたことがわかってきましたので、いっそのこと高齢者向けのサービスをビジネス化できないかと考えたというわけなんです。
ただ、何もなく、高齢者宅を頻繁に訪問するというわけにはいきません。一歩間違えれば、「押し売り」「悪徳セールス」と言われなくもありません。
訪問するにも大義名分が必要になるのです。象印のポットを使うとメールを飛ばすというサービスは知っていましたが、同じようなことができないかとある社長さんに相談をしました。
「それやったら、ええ会社知ってるで。」
と言われ、今回の立山システム研究所をご紹介いただきました。
そこから、本格的にこの見守りサービスを組み立てることになったというのが、「シニアホームケアビジネス」の経緯です。
みなさんも感じていらっしゃるように、このビジネスは未来に向けてさまざまな、大きな可能性をもっています。
高齢者から、またそのご家族から必要とされ、心から感謝されるサービス。
近い将来にこのサービスが日本全国で当たり前のものになり、取り組む会社さんが地域で無くてはならない会社になっている。
そんな未来を私はクリアにイメージしています。ぜひ、ともにすばらしい未来を描きましょう!
※この記事は株式会社船井総合研究所の協力のもと、同社発行の「シニアホームケアジャーナル」を一部改訂してお届けしています。