警察の取り締まりをかいくぐるかのように複雑化していく特殊詐欺の手口。今回紹介する事例では、善意の高齢者を共犯者にしたてあげるというから悪質です。
警察庁の発表によりますと、今年9月、首都圏を中心に、シルバー人材センターを名乗る人物から「荷物預かりの仕事をしてほしい」と持ちかけられ、気づかぬうちに高齢者が詐欺犯罪の受け子(振り込め詐欺などで騙し取った現金を受け取る役)にされてしまうという事件が発生しました。
この詐欺手口の流れをもう少し詳しく説明しますと、
といった流れになっています。
送付される荷物の品目には、「タオルセット」や「食べ物」」などと書かれており、高齢者Aは中身を確認せずに荷物を受け取ってしまうことから、気づかぬうちに特殊詐欺の共犯者にしたてあげられてしまったというわけです。
また、現金回収時にはバイク便などの宅配業者を装って近づくケースが多いといいますから手が込んでいます。
『高齢者巻き込み型』と呼ぶのが適切かは分かりませんが、今回のような高齢者を共犯者に仕立て上げるような特殊詐欺を防ぐにはどのようにすればよいでしょうか?
ひとつ言えることは、身に覚えのないことや知らない第三者からの依頼は、安易に受けないことが大事、と言えるでしょう。
今回の事件に対して、社団法人全国シルバー人材センター事業協会の末竹正男事務局長は、「センターの名前が悪用されて遺憾」「具体的な仕事内容を説明せずに依頼することはありえず、そもそも会員以外に仕事を依頼することもない」と発表していることからも分かるように、真っ当な企業や団体が無関係の第三者に対し十分な説明もせずに仕事や依頼を持ちかけることはありえません。
一人暮らしをされている高齢者の中には、「誰かの役に立てるなら」ということで善意で依頼を受けてしまう方も多いかと思いますが、残念なことにそういった高齢者の善意に付け込んだ犯罪行為が増えてきているのが実情です。非情に思われるかもしれませんが、覚えのない事柄に対してはハッキリと拒絶の意思を表明することが、あなたの身を詐欺被害から守り、犯行グループに加担することへの防止策となるでしょう。
今回の事件が起こる以前にも、70代前後と思われる女性が振り込め詐欺の犯人グループに加担していた事例が発表されており、意図的かそうでないかはともかくとして、高齢者が詐欺犯罪の片棒を担がされる事例が増えてきているように感じます。
こういった手口が増えている背景には、警察の取り締まりを回避するといった狙いの他に、高齢者を登場させることで警戒心を緩ませる・高齢者同士の繋がりを利用し、介護サービスの利用状況などといった個人情報を抜き取るといった狙いが見え隠れしています。
従来の特殊詐欺では、実行グループは被害者の孫世代にあたる若者が多かったのですが、最近は少し事情がかわってきているようですね。
いずれにしても、こうした詐欺の被害にあわないためには、日ごろから十分な情報収集を行い、さまざまな手口に対して警戒しておくことが重要となってきます。
当サイトがご案内している見守りサービスでは、定期訪問の際に時事情報に関する情報提供サービスも行っておりますので、こうした特殊詐欺に対する予防策としても有効です。
ぜひ一度ご利用をご検討くださいませ。